カポエイラの帯システム
カポエイラにも空手や柔道などの他の武道の様に帯のシステムがあります。
ただし、全ての団体にあるわけではありません。
少なくとも、カポエイラ・アンゴーラと言う流派には帯はありません。
アンゴーラ以外の流派でも、稀に帯がない団体があり、帯以外の物で段階を表す事もあります。
例:フィーリョス ジ ビンバ
一般的な帯のシステム
カポエイラの帯のシステムは、他の武道とは違って団体によって大きく違います。
なので、なかなか困る事も多いです。
Aの団体では上級者の帯の色であるが、Bの団体では初級者の帯の色だったりします。
なのですが以下はほぼ全ての団体で共通のルールとなります。
一番最初は黄緑帯
Mestre(メストゥレ…師範)は白帯
黒帯はまず使わない
空手などでは一番最初である白帯が、カポエイラでは最高の帯であるのが面白いですね。
何故かは様々な理由(全ての基本の色、平和の色、など)がありますが、一般的なユニフォームは上下白ですし、カポエイラを作ったブラジルの人達が白をとても大事な色として扱っているのがわかります。
逆に黒帯がないのも面白いですが、ごく稀に使っている団体もあるので絶対とは言い切れないとはお伝えしておきます…。
生徒、先生の段階
もちろん団体によって違うのでこれが全てではないのですが、生徒、先生は段階によって以下の様に呼称されます。
下のレベルから順に記します。
ポルトガル語は男性名詞と女性名詞があるのに注意です。
Aluno アルーノ(女性はアルーナ)
意味は生徒。生徒は全てアルーノではありますが、一定レベル以下の生徒を指してアルーノと言う場合もあります。
ちなみに、初心者には始めたばかりの者と言う意味のIniciante イニスィアンチを使う事もあります。
Aluno Graduado アルーノ グラドゥアード (アルーナ グラドゥアーダ)
意味は卒業生。一定のレベルを超えた者です。
Aluno Formado アルーノ フォルマード(アルーナ フォルマーダ)
意味はこちらも卒業生と言う意味がありますが、形成されたと言う意味もあるのでグラドゥアードよりやや上位のイメージです。
Instrutor インストゥルトール(インストゥルトーラ)
意味は指導者、インストラクター。
Estagiário エスタジアーリオ(エスタジアーリア)
意味は研修生(先生になるための)。
Professor プロフェソール(プロフェソーラ)
意味は先生、プロフェッサー。
Contramestre コントゥラメストゥレ(コントゥラメストゥラ)
意味は準師範。
Mestrando メストゥランド(メストゥランダ)
意味は準師範。
Mestre メストゥレ(メストゥラ)
意味は師範。
…上記の段階が全ての団体にあるわけではありません。
例えばカポエイラ・テンポは
アルーノ
アルーノ グラドゥアード
アルーノ フォルマード
エスタジアーリア
プロフェソール
コントゥラメストゥレ
メストゥレ
を使います。
団体によっては段階の順番が違ったり、メストゥレの上にグラォンメストゥレ(大師範?)がある事も。
なかなかややこしい事になっています…。
カポエイラ・テンポの帯の段階
では、当団体の帯システムを例として紹介します。
子供と大人で別れています。
ブラジル本部では16歳から大人帯としていますが、日本支部では18歳からとしています。
大人も子供も、最初は帯無しからスタートします。
技カードの左ページのスタンプをコンプリートするとユニフォームを着てメンバーになる事ができます。
年に一度、ブラジルから白帯であるメストゥレ トニーを招聘して行うバチザード&トロッカ ジ コルダスと言う、いわゆる昇級式・昇段式にて帯を貰います。
はじめて帯を貰う時は同時にアペリードと言われるカポエイラの世界でのあだ名も貰います。
大人の帯
黄緑帯
最初の帯です。
取るための条件は、セクエンスィア ジ メストゥレ ビンバと言われる、カポエィラ ヘジォナウの創始者であるメストゥレ ビンバが作った8つの型を覚える事です。
完璧にできる必要はないので難しくはありません。
基本的に、技カードの左ページが全部終わっている人はほぼ自動的に黄緑帯を取る資格を得ます。
緑帯
2番目の帯、
動きをつなげる事ができる人の帯です。
取るための条件は、基本がしっかりできている事。
連続蹴り、蹴り返し、移動からの蹴りができている事。
カポエイラの楽器と歌がある程度わかり、ポルトガル語などの知識も身に着け始めている必要があります。
黄帯
3番目の帯、
アクロバットの帯です。
取るための条件は、ある程度のアクロバットができる事。
飛び蹴りができる事。闘うカポエイラのための準備ができている事。
音楽面である程度活躍ができる事。
知識も、下の帯の人に少し教えられるぐらい身につけている事。
青帯
4番目の帯、
アルーノ グラドゥアード、闘う事ができる人の帯です。
取るための条件は、倒し技も含めカポエィラで闘うための技術を知っている事。
音楽面でも知識面でも人前で披露できるほどに身に着けている事。
青帯からは指導を任される事もあるので、カポエイラの指導がある程度できる事。
この帯を取るためにはアヴァリアサォンと言われる昇段テストを、ブラジルから来日する先生の前で行います。
赤帯
5番目の帯、
アルーノ フォルマード、指導資格が得られる卒業生の帯です。
取るための条件は、先生の管理下においてではあるが、支部を任せられるぐらいに総合的にカポエイラを習得している事。
ジョーゴ ジ イウナと言われる、指導者のみが披露する投げ技を使う組手ができるようになっている事。
この帯からは指導者扱いとなり、他団体のバチザードで先生役として帯を取る生徒の組手の相手をするようにもなります。
空手で言う黒帯はこの赤帯が相当します。
なのでここでやっと初段になる、と言うイメージですね。
アヴァリアサォンも行います。
緑&黄帯
6番目の帯、
エスタジアーリオ ニーヴェウ1(研修生レベル1)、正式な先生になるための前段階の帯です。
昇段の条件は指導者としての技量、成果を問われますが、大体は正式なテストなどは行われません。
青&赤帯
7番目の帯、
エスタジアーリオ ニーヴェウ2(研修生レベル2)、正式な先生になるための直前の段階の帯です。
白&緑帯
8番目の帯、
プロフェソール ニーヴェウ1(先生レベル1)、ここから正式な先生となります。
この前の段階の指導レベルの帯と何が違うかと言うと、自分でオリジナルのロゴを作っても良くなります。
自分の名前を大々的に世の中に発信できたり、かなり自由に活動ができるようになります。
多くの団体のバチザードにおいて、一番目の帯の授与の組手はプロフェソール以上ではないと相手できなかったりもします。